発表で失敗しないための Powerpoint メモ

Powerpoint は最近では口頭発表に欠かせないツールになってきた。しかし、独特のくせがあること、またユーザーも Word のように使い慣れていないこと、そして研究発表という緊張を強いられる場であることから、トラブルに見舞われるとなかなか解決できないことがある。また、それを見ている方も結構つらい。

ここでは、学会とかでよく見る失敗例と対策を書いてみたい。

ディスプレイ切り替えに気をつけろ。

つないでも画面が写らない。よく見かけるケースである。外部にディスプレイ画面を出力するには特別な操作が必要になる。 たいていのノートPCでは、Fn キーを押しながらファンクションキー (キーボード上部のF1,F2,...,F12というキー) のどれかを押すと切り替えできるはずである。該当するファンクションキーには Fn キーと同じ色でディスプレイとか液晶のような絵が描いてある。わからなけれぱ F7 か F3 か F5 あたりを試してみるといいかも。以下、 Fn+Fx と表記する。

このキーは「内蔵液晶 (LCD) のみ」「外部出力 (CRT) のみ」「内蔵液晶 (LCD) +外部出力 (CRT)」の切り替えのはずである(順番は機種によって違う)。ちゃんと接続できているかどうかわからないときは、Fn+Fx を何回か操作して、液晶が真っ暗になるようにするといい。そのときは「外部出力 (CRT) のみ」になっているから、この部分の問題は確実に解決できる。「内蔵液晶 (LCD) +外部出力 (CRT)」で発表したい場合でも、接続が確認できてから Fn+Fx で切り替えればいい。

このキーを操作しても液晶が真っ暗にできない場合がある。賢いノートPCの場合、外部ディスプレイの接続が確認できないときは切り替えを受け付けないことがある。そういう機種の場合は、もう一度接続を確認しよう。また、Fn+Fxx が間違っていないか、ほかのも試してみよう。

絶対に接続できているはずなのに、なぜか切り替えできないという現象もある。プロジェクターが古いと、Plug and play 情報をマシンに送らないため、ディスプレイが接続されていないと判断されてしまうことが往々にしてあるようだ。僕の SONY PCG-SR9C/K でも一度食らったことがある。発表まで時間があるなら、次の手順で何とかなる可能性がある。

  1. 一度別のディスプレイにつなぐ
  2. Fn+Fxで外部ディスプレイモードにする
  3. そのままディスプレイを目的のプロジェクターにつなぎかえる

ディスプレイ接続アダプタに気をつけろ。

小型のノートPCでは外部ディスプレイに接続するために特殊なアダプタが必要になることがある。これを忘れるとかなり救いがないので、気をつけるしかない。

解像度に気をつけろ。

線が消える、字が読みにくい、字がぼやける、画面がざらざらする、画面の端が切れる、などなど……。たいていは解像度設定の問題である。デスクトップを右クリックして「プロパティ」を選び、適切な解像度を選ぼう。たいてい 1024x768、古い機種だと 800x600、場合によって 1280x1024 がベストである。

表1: 解像度が間違っているとこうなる
正しい解像度大きすぎる解像度 (縮小表示)小さすぎる解像度
(拡大表示)
運がいい場合運が悪い場合

解像度が合っていてもおかしい場合はプロジェクターの自動調整機能を使うと直るかもしれない。それでも直らない場合、じつはディスプレイケーブルが粗悪品という場合があった。ディスプレイ信号はアナログなのでケーブルの品質が意外に大事である。とくに延長ケーブルを使用するのはできるだけ避けよう。

ムービーに気をつけろ。

ムービーを張り込むプレゼンが増えてきたが、 Windows XP などではムービーだけがプロジェクターに映らないことがある。たいていムービーはプレゼンの要になるだけに困ることが多い。ノートPCの液晶画面では問題なく動いているだけに、発表者によってはムービーが真っ黒にしか見えてないことに結局気づかない人もいる。

対策は、Fn+Fx を操作して、外部表示のみに切り替える(液晶側が真っ暗になるようにする)ことである。これで、プロジェクター側でムービーが動く。もしそれだと発表がしにくいというなら、ムービーが終わった時点で改めて出力を戻せばいい。

電源に気をつけろ。

ACアダプタは必ず持参すべし。発表中にマシンがスタンバイになるのはかなり格好悪いと思う。また、バッテリーがトラブルを起こすことだってある(いつのまにか使い切ってしまっているとか)。もちろん、AC電源がトラブルを起こすこともあるが(コンセントまで届かないとか)その場合でもバッテリーという予備策があるのである。あと、たいていのノートにはAC電源供給中のランプがあるので、確認する習慣をつけるといい。

また、海外の場合、電圧やプラグ形状の問題が起きると最悪なので、十分注意したい。

イルカに気をつけろ。

時々、Powerpointの操作が効かなくなって、聴衆の前でパニックになってしまう人がいる。たいていはイルカが何か言っている時である。イルカが吹き出しを表示している時は OK とかクリックしてやらないと、他の操作が動かない。

リハーサルに気をつけろ。

Powerpoint には、発表時間を計ってくれる便利なリハーサルモードがある。練習時に使うと便利なのだが、終了後に表示される「タイミングを記録しますか?」には決して「はい」と答えてはいけない。実際の発表時に、そのタイミングで自動的にページがめくられてしまう。じっくり説明したくなったスライドで静止させることは不可能になるだろう。万一やってしまったら、「スライドショー」「スライドショーの設定」で、ページ切り替えのタイミングを「クリック時」にすればよい。

パッドに気をつけろ。

発表時、棒やレーザーポインタで指すよりマウスポインタで指した方が分かりやすいことがある。あとは、スライド内のボタンやムービーをクリックするためにも、マウスポインタはよく使う。 しかし、ノートパソコンのマウスのかわりにタッチパッドが載っている機種では気をつけたほうがいい。たいてい、パッドの縁にはスクロールが割り当てられている。マウスポインタを動かすつもりで、指がパッドの端っこをさわってしまうと、ページをめくってしまう。格好悪いだけでなく、本人が原因に気づいてないと何度も再発するので、見てて疲れる。 できればマウスかトラックボールを接続して使ったほうがいい。

テキストの幅に気をつけろ。

あまりテキストボックスを幅ぎりぎりに作ると、違う環境で改行位置が変わることがある。その結果、枠からはみ出したり他の文字に重なったりすることがある。 Microsoft 製品にはついて回る問題(Word でもプリンタ設定を変えると改行位置が変わって表組が崩れることがある)なので、少し余裕を持って作っておくことをすすめる。

ウイルスに気をつけろ。

学会などいつもと違う環境で、携帯電話や無線LANなどでインターネットに接続すると、ウイルスやワームに感染してしまうことがある。学内の安全な環境では問題ないセキュリティホールも、他のホテル客や携帯ユーザーなどにさらされるとひとたまりもないのである。こんなことで発表が不可能になってはあほらしいので、セキュリティの基本対策はしっかりとっておこう。具体的には「ウイルス対策ソフトを導入する」「Windows Update をこまめにあてる」「ファイアウォール機能を使う」である。

また、できればコンパクトフラッシュやUSBメモリなど互換性の高い記録媒体にスライドを入れておいて、万一の時には他の発表者からノートを借りることも考えよう。