好奇心の轍

脳・心・人工知能といった、よくわからんものを研究するふりをしながら、日々と人生についてつらつらと考えている「たっきー」のブログです。
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2004/10/12 (Tue) BSE問題の落とし穴: 牛の年齢ってどう確認するの

[時事] BSE問題の落とし穴: 牛の年齢ってどう確認するの

20か月以下の牛を狂牛病(BSE)検査から除外するという仕組みが押し通されようとしている。農林水産省などの動きに、議員などが反対しているようだが、その理由がなんか物足りない。

今日のNHKニュース10によれば「全頭検査で安心した国民に不安を与える」「検査済・未検査がまざり市場が混乱」「外圧による方針変更に反発」という理由らしいのだが・・・。気づいていないが重要な問題があるように思う。

僕も基本的には輸入再開に賛成だ。一応科学者の端くれとして、他の科学者が出した結論である「20か月以下の牛なら検査しても見つからないし、ちゃんと処理すれば安全である」ということは信じたい。しかし、もっとずっと根本のことを忘れていないか。

その牛が本当に20か月以下だとどう確認するのか

検査をしなくてよければコストが安くなる。20か月を1日超えた牛も20ヶ月以下だといって現場の判断で処理するという事態が遅かれ早かれ起きるはず。そして、1日がOKなら3日、1週間と伸びるはず。問題はそれがどこまで伸びるかだが、1か月ぐらいはごまかされる危険は十分あると思う。21か月は、BSEが検出された牛の最低月齢である。

日本人はあれだけ大騒ぎになった牛肉偽装事件をよもや忘れるわけがあるまい。外国産の牛肉がラベルを張り替えるだけでいとも簡単に国産牛肉に化けたのである。年齢をごまかすのも同じぐらい簡単ではないのか。

国産牛ならまだ牛肉トレーサビリティが整備される (耳のタグから個体識別して行政法人が牛の生育歴を管理する。2003年12月施行) ので、運用チェックをを強化すれば偽装を難しくすることはできるだろう。しかし同様の基準をアメリカからの輸入肉にも適用するわけである。Googleでひっかけてみるとアメリカは牛のトレーサビリティ後進国らしい。これはつまり、その牛が20ヶ月以下だとアメリカ側が言ってもその根拠はないということである。アメリカから届く冷凍された枝肉のなかにも偽装された老齢牛が混ざっていたとことも、そしてその牛がBSEに感染していたとしても、日本側には調べる方法がない。

はやく吉野家の牛丼が食べたいのは確かだ。が、見せ掛けだけの対策では困る。国民の安心が第一というなら、いい加減なことができないような仕組みをしっかり導入してほしい。

と、国民からしっかり言わないとね・・・。