好奇心の轍

脳・心・人工知能といった、よくわからんものを研究するふりをしながら、日々と人生についてつらつらと考えている「たっきー」のブログです。
カテゴリ一覧:

2004/05/15 (Sat) 年金未加入とユーザーインタフェース

[時事] 年金問題、もう飽きた

後出しジャンケン大会&魔女狩りの様相を呈している年金未納・未加入問題である。

発端は江角マキコであったわけであるが、現在問題になっている人とではレベルが違う。何十年も前にちょろっと未加入期間があることをそんなに言い立てるのはどうだろうか。わざと全員辞任で逆襲するとか、ほんとに常軌を逸していると思う。というか、もう飽きた。後出ししたずるい人を優遇する気はないけど、現状は明らかにやりすぎだ。

私は未納・未加入期間はないです。調べてないけど、たぶんない。免除の期間はあるけど。でも、こんなちょろっと未加入があった人を責める気には到底なれない。

それより気になるのが、マスコミはどこから年金加入期間情報を入手しているのかという点。国民が喜ぶから報道が過熱して人権侵害にまでなるのだと思う。

そもそも年金未加入は個人の責任じゃなくて制度の欠陥だと思うのよ。下に続く。

[時事][提案] 年金未加入はユーザーインタフェースの欠陥

どのあたりが欠陥かって、ユーザーインタフェースデザイン的に間違っているのと思う。

まず、問題をはっきりするために未納と未加入の区別をはっきりしておきたい。未納とは、国民年金の加入者が掛け金を支払っていない状態であり、社会保険庁から督促状が届く状況である。一方、未加入とは、国民年金にそもそも加入していない状況であり、そのことを誰からも教えてもらえない状況である。

未納は罪である。少なくとも、未納期間中は国の政策に携わる自覚がないとみなされてもいいと思う。現在まで未納だったという者は辞任もやむなしと考える。督促状が届いているのに無視しているわけだからだ。

では、未加入は罪だろうか。必要な手続きを怠っているという点で悪いといえば悪い。しかし、そんな手続きを必要にしているということに問題はないのか。

とりあえず僕は、未加入問題の制度の問題の根源は、以下のただ一点に集約されると考える。

  • 会社に入ると、会社が国民年金の脱退手続きを自動的にする。
  • 会社を辞めても、会社は国民年金の加入手続きをしてくれない。

まるでベルトコンベアである。これで未加入者が出ないほうがおかしい。コンピュータのソフトでこんなユーザーインタフェースを作ろうものなら袋叩きである。普通に考えれば、次のようなインタフェースにする。

  • 会社に入ると、会社が国民年金の脱退手続きを自動的にする。
  • 会社を辞めると、会社が国民年金の加入手続きを自動的にする。

会社を辞めてすぐ次の会社に就職すると、国民年金の加入手続きがされてすぐに脱退手続きがされる (無駄な処理が生じる) わけだが、国民皆保険の原則を守るためならこの程度たいしたことはない。

もし、どうしてもこのような解決策ができないのなら、最低限、次のように設計すべきである。

  • 会社に入っても、会社は国民年金の脱退手続きをしてくれない。
  • 会社を辞めても、会社は国民年金の加入手続きをしてくれない。

こうすると、普通は二重に支払いたくないので、自分で脱退手続きをする。そうすれば、自分で加入手続きすることも常識で考えてわかるはずである。現状よりましであることは確かであろう。

現状をソフトでいうと、Linux インストーラに、全自動 Windows アンインストール機能が付いているようなものである。勝手にされたら、初心者があとでハマることは目に見えている。全自動アンインストール機能をつけるなら、Linuxを抜いたときには全自動で Windows 環境が復元されるようデザインしなければいけない。それができないのなら、いくら操作が面倒でも、Linux インストーラは最初に「Windowsはすべて消去されます! よろしいですか?」と表示して、ユーザーが自分のしていることを理解するようにデザインしないといけないのだ。

民主党が言うように年金を一元化すればこの問題がなくなることは確かである。しかし、現状のこんなシンプルな問題を、今まで誰も指摘していないのはどういうわけだろう。

本日のコメント(全2件) [コメントを入れる]
白玉あんみつ (2004/05/15 (Sat) 23:59)

月の満ち欠けをいつも楽しみにしております白玉あんみつです。年金問題・・・本当にどこに飛んでしまうのでしょうか?問題の本質から段々ずれてきてしまっているようで。〜自己責任論のときもそうでした〜年金問題の現状をソフトに例えて説明していただいて・・・なるほど納得です。ところで、渡英されるようですが、どうぞお気をつけていらしてください。以後、このサイトはイギリスから更新されるということなんですね。すごいです。・・・で月の満ち欠けはどうなるのでしょうか?

たっきー (2004/05/16 (Sun) 01:59)

コメントありがとうございます。本当にこの問題、どうなるのでしょうね。怪しい改革案をごり押しする与党、まともな対案が作れない野党と、見ていて嫌になりますが、結局、自分たちで選んでいるわけで。安直に投票する人、選挙に行かない人の責任なのだと思います。<br>さて、このサイトのことですが、イギリスからも更新しようと思っています。自分も情報がなくて苦労したので、今後の人のために少しでも参考になれば、と。今後ともよろしくお願いします。月の形は日本から見てもイギリスから見ても一緒なのでこのままです。